隠蔽された「160時間」の対価。年間総額の試算と時効の壁
【試算モデルの設定】
- 想定月給: 30万円(基本給 + 諸手当)
- 月間所定労働時間: 160時間(1日8時間 × 20日)
- 隠蔽された残業時間: 月160時間(休日出勤および平日深夜分)
- 深夜労働の仮定: 隠蔽分160時間のうち、50%(80時間)が深夜(22時〜5時)と仮定
1. 1時間あたりの賃金(基礎時給)の算出
基礎時給 = 300,000円×160時間 = 1,875円
2. 残業代の割増率と単価
- 時間外労働(25%増): 1,875円×1.25 = 2,344円
- 時間外 + 深夜労働(50%増): 1,875円 ×1.50 = 2,813円
3. 月間および年間の未払い総額(試算)
一ヶ月あたりの未払い額:
・通常残業分(80時間):2,344円×80H = 187,520円
・深夜残業分(80時間):2,813円×80H = 225,040円
⇒ 月間合計:412,560円
⇒ 年間総額:4,950,720円
【経営インパクト:付加金というペナルティ】
裁判所が「悪質」と判断した場合、未払い金と同額の「付加金」の支払いを命じることがあります。 その場合、会社が支払う額は年間約1,000万円に跳ね上がります。これが「仲間の分」も加算されると、中小企業であれば倒産リスクに直結する数字です。
4. 請求できる「限界」について(消滅時効)
どんなに多額の未払いがあっても、法的な「期限」があります。
- 請求できる期間: 現在は「過去3年間」分まで遡ることが可能です。(労働基準法改正により、当面の間は3年となっています)
- 「休日買い上げ手当」との相殺: 会社側が支払っていた「日給(業務委託費)」は、既払い分として差し引かれる可能性があります。しかし割増賃金の不足分は、依然として請求対象です。
- 時効の中断: 内容証明郵便等で「催告」を行うことで、時効のカウントダウンを一時的に止めることができます。
「年間500万円の損失」は、あなたの健康を削って会社が不当に得ていた利益です。
この数字を突きつける準備はできていますか?
「証拠」を「請求権」に変える。実態労働時間の可視化シート
【表作成の戦略的意図】
この表の目的は、「会社が主張する形式(休み・副業)」と「あなたが記録した実態(勤務・残業)」の乖離を一覧化することです。 特に「証拠資料番号」の列を作ることで、どの数字がどのメールやログに基づいているかを即座に示せるようにし、労基署の調査スピードを早めます。
Excel/スプレッドシート用推奨項目(カラム)
| 項目名 | 入力内容の解説 |
|---|---|
| A. 日付 | 休日出勤、または深夜労働が発生した日。 |
| B. 会社記録 | タイムカード上の記載(例:「公休」「退社18:00」など)。 |
| C. 実態:始業〜終業 | PCログやメール送信時刻に基づく、実際の勤務時間。 |
| D. 実労働時間 | (C)から休憩を除いた、通算の労働時間。 |
| E. 既払額(別会社) | 別会社から「日給」等として実際に支払われた金額。 |
| F. 本来の割増賃金 | (D)に対して、法的な割増率(1.25〜1.5倍)を掛けた金額。 |
| G. 未払い差額 | (F)−(E)。これがあなたの「請求権」の根拠です。 |
| H. 証拠番号 | 別フォルダで管理する証拠ファイル(メール、写真等)との紐付け。 |
【ケンゴのアドバイス:備考欄の活用】
表の右側に「備考」を作り、「指示者名」(例:〇〇部長よりチャットにて指示あり)を記録しておいてください。 これにより、別会社名義の仕事であっても、実質的な指揮命令が「本社」で行われていたことを強力に立証できます。
この表を1ヶ月分埋めるだけでも、労基署を動かすには十分なインパクトがあります。
体調を優先しつつ、まずは直近の1ヶ月分から着手してみてください。



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