元交際相手による私的な写真・動画の所持、暴言、脅迫を理由に警察に相談した大学生の方からのご相談です。当初、逮捕は希望しないと伝えましたが、その後の元カレの新たな問題行動を知り、逮捕希望への意思変更を検討しています。また、元カレの厳格な父親に事実を知ってほしいという強い思いがあり、その方法と、逮捕希望の変更が警察の対応にどのような影響を与えるかを知りたいという「消化不良感」の解消を求める内容です。
こんにちは、ケンゴです。人生という長い旅、時には地図が必要ですよね。データに基づいた『よりみち』を案内します。
まず、あなたが勇気を出して警察に相談し、自分を守るための行動を取られたことに心から敬意を表します。非常につらい状況で、よく頑張っていらっしゃいますね。あなたが抱える怒り、不安、そして「消化不良感」は、決して間違っていません。それはあなたが心の中で、「正しいけじめ」を求めている証拠です。
本当はどうしたいですか?(本音への問いかけ)
あなたは「絶対逮捕してもらわないと困るわけではない」と言いつつも、「どうしても消化不良感が否めない」と感じていますね。
それはきっと、「私が受けた仕打ちに見合うだけの社会的、あるいは個人的なペナルティが相手に下されてほしい」「相手が自分の犯した過ちの重大さを心底理解し、反省してほしい」という、あなたの倫理的な正義感からくる願いではないでしょうか。
あなたが望む「けじめ」を、どこに、どの程度まで求めるのか。そして、そのためにあなたが負う可能性のある「負担」をどこまで許容できるか。そこがこの問題の「羅針盤」になりそうです。
💡3つの疑問と行動の選択肢
1. 警察への「逮捕希望」の意思変更と新しい情報提供は可能か?
結論から言うと、警察に伝えた「被害者の意向」(逮捕希望の有無)は、後から変更を申し出ることは可能です。その際、新たに知った情報も伝えるべきです。
定期連絡で伝えるべきこと
- 意思変更の可能性: 被害者の処罰感情は捜査を進める上で重要な要素ですが、一度決めたら変えられないものではありません。定期連絡の際に、「新しい情報も入り、自分の気持ちが変わった。元カレの逮捕や処罰を強く希望する」と正直に伝えてください。
- 第三者情報の提供: あなたが直接被害を受けたことでなくても、元カレの「危うい行動」や「犯罪者要素」を高める情報は、捜査機関にとって重要です。警察はその情報を元に、元カレの余罪や常習性を捜査し、逮捕の必要性を再検討する可能性があります。これはあなたが求める「けじめ」を実現するための、一歩になります。
2. 元カレの父親に事実を知らせるための「視点の転換」
元カレの父親に事実を知ってほしいという気持ちは、「彼が叱責され、二度と過ちを犯さないでほしい」という健全な願いに基づいていると理解できます。しかし、あなたが直接元カレの家族に接触することは、予期せぬトラブル(感情的な反発、更なる脅し、証拠隠滅のリスクなど)を招く危険があります。
社会的な視点:安全な第三者による介入
この問題は「個人的な復讐」ではなく、「法的な正義」で解決を図るのが最も安全です。
自分の権利を主張することは大切ですが、「法的に守られた枠組み」の外で行動すると、あなたが逆にトラブルに巻き込まれかねません。あなたの安全と心の平穏を最優先するため、公的機関を介した第三者による介入という視点に切り替えましょう。
【選択肢】
- 警察に委ねる: 警察に「元カレの父親は非常に厳格で、この件を知れば効果的なペナルティになりうるが、私が直接連絡するのは不安だ」と伝え、捜査の一環として父親に接触する可能性を検討してもらう。警察は事件の重大性に応じて、被疑者の家族に連絡を取ることがあります。
- 弁護士に相談する: 費用はかかりますが、弁護士を代理人に立てることで、安全な形で相手方の親と接触してもらう(示談交渉や被害弁償の提案など)という手段も考えられます。この方法なら、あなたが直接巻き込まれるリスクを避けられます。
3. リベンジポルノ防止法違反の罰則と警察の対応
元カレが行った「あんまりよくない写真や動画を所持」し「暴言や脅迫」を加える行為は、「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(リベンジポルノ防止法)」や「脅迫罪」などに問われる可能性があります。
リベンジポルノ防止法に基づく罰則(一部抜粋)
| 行為 | 罰則(目安) |
|---|---|
| 公表罪(ネット公開など) | 3年以下の拘禁刑 又は 50万円以下の罰金 |
| 公表目的提供罪(第三者への提供) | 1年以下の拘禁刑 又は 30万円以下の罰金 |
| 脅迫罪(刑法) | 2年以下の拘禁刑 又は 30万円以下の罰金 |
出典:大阪府警「リベンジポルノの被害に遭わないために」、刑法等
これらの罪は、特に公表罪や公表目的提供罪は告訴がなければ公訴を提起できない親告罪(※)とされています。そのため、あなたが逮捕を希望し、告訴を視野に入れた意思表示をすることは、警察が本格的な捜査に進む上で非常に大きな意味を持ちます(※告訴期限は犯人を知った日から6か月以内です)。
📚 心の整理に役立つ実在リソース
この問題を一人で抱え込む必要はありません。専門家や公的なサポート機関を頼ってください。
【公的相談窓口】
- 性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター(内閣府)
(全国共通番号 #8891:医療的、心理的、法的支援など、総合的なサポートを受けられます) - 各都道府県警察の性犯罪被害相談電話
(全国共通番号 #8103:警察への相談をためらう場合に、まずはこちらで話を聞いてもらうことも可能です)
【参考記事】
- リベンジポルノで逮捕されるケースとは?逮捕から判決までの流れも解説 – ベンナビ刑事事件
(逮捕後の流れや処罰について具体的に知ることで、今後の見通しが立ち、不安の軽減に繋がるかもしれません)
🚨 リスク管理と最終的な判断について
警察との話し合いや法的な手続きは、予期せぬ精神的負担や二次被害を招くリスクが伴います。当記事は「気づき」を提供するためのものであり、最終的な判断は必ず警察、弁護士、またはワンストップ支援センターなど、専門的な知識を持った第三者にご相談の上で行ってください。ご自身の安全と心の健康を何よりも優先してください。
あなたの「消化不良感」は、「相手に正しく向き合ってほしい」という、誰よりも真面目な気持ちから生まれています。その気持ちを警察に伝えることは、あなた自身の心の回復にとって最も大切なプロセスです。
まずは次の定期連絡の際、恐れずに「逮捕希望に変更したい」と、あなたの正直な気持ちを伝えてみてください。あなたの尊厳を取り戻す旅は、まだ終わっていません。焦らず、あなたの「羅針盤」が示す方向へ、一歩ずつ進んでいきましょう。
【よりみちナビゲーターのおすすめ】
心のサポートのためのレコメンド書籍
精神的なショックは、時間の経過とともに現れることがあります。自己肯定感を回復させ、他者との健全な境界線を学ぶための書籍やサポートをおすすめします。
- 📚 書籍: HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン) の教科書 (シリーズ こころの教科書) 上戸えりな
(ご自身の敏感さを理解し、どのように心をケアし、不健全な関係から自己を守るか、ヒントが得られるかもしれません)




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