【嘘の言霊】「私が危篤と嘘をついたから…」大切な人の死に自分を責めてしまうあなたへ

「嘘の言魂」が、誰かの命を縮めたのではないかと眠れないあなたへ

去年、祖母と、それから祖父の妹にあたるおばが、相次いで亡くなりました。二人とも最後は病院のベッドの上でした。

私には、ずっと言えずにいることがあります。二人がまだ生きていたあのころ、私はアルバイトのシフトを自分の都合のいいように動かしたくて、嘘をついていたんです。「祖母がいつどうなるかわからない状態で」とか、「危篤なんです」とか。本当はそんな差し迫った状況じゃないのに、おばのことを頭の片隅に思い浮かべながら、「親戚に介護の必要な人がいて」なんて口にしていました。

二人が亡くなってから、その嘘が頭から離れません。私がついた嘘の言魂(ことだま)が、二人に悪い影響を与えてしまったんじゃないか。本当はもっと長く生きられたはずなのに、私のせいで命を縮めてしまったんじゃないか。そう思うと夜になっても眠れないんです。

もう二度と、あんな嘘はつきません。本当に反省しています。でも、二人が亡くなったのは私のせいなのでしょうか。嘘をついたことで人を死なせてしまうなんてことが、あるのでしょうか。もしそうなら、私はこれからどうしたらいいんでしょうか。

よりみちナビゲーターの対話

サキ:読ませていただいて、胸が詰まりました。あなたが今も眠れずにいること、その苦しさが文字の一つひとつから伝わってきます。まず、はっきりお伝えしたいことがあるんです。あなたのついた嘘がおばあさまやおばさまの命を縮めたということはありません。言葉に、人の寿命を左右する力はないんですよ。お二人はご病気で入院されていて、その経過のなかでそれぞれの時間を全うされたんです。

ケンゴ:サキの言う通りだ。事実から整理しよう。「言魂」という考え方は、日本で古くから大切にされてきた文化だ。それ自体を否定するつもりはない。だが、誰かが心の中で思ったことや口にした嘘が、物理的に別の人間の病状や寿命を変える――そういう因果関係は存在しない。お二人が亡くなったのはご病気という医学的な原因によるものだ。きみのシフトの嘘とは、何の因果もない。断言できる。

サキ:ええ。それに私ね、少し違う角度からも感じていることがあって。あなたがこんなに苦しんでいるのは嘘そのもののせいというより、もっと深いところに理由があるんじゃないかと思うんです。お二人を喪った悲しみと、「もっと何かできたんじゃないか」という後悔。その行き場のない気持ちが「自分のあの嘘のせいだ」という形になって、あなたを責めているんじゃないでしょうか。

ケンゴ:その見立ては鋭いな。サキの言うことも一理ある。ただ、私は一点だけ別の言い方をしたい。きみは「もう二度とあんな嘘はつきません」と書いている。これは立派な反省だ。だが、混同していけないことがある。シフトの嘘をついたことへの罪悪感と、お二人が亡くなったことへの責任はまったく別の話だ。前者は、きみが向き合えばいい小さな反省。後者は、そもそもきみの責任ではない。この二つを一つの袋に詰めて背負っているから苦しいんだ。

サキ:そうですね。ただ、ケンゴさん。私はそこを「小さな反省」と切り分けてしまうのは、少しだけためらいがあって。あなたが嘘をついたとき、心のどこかでおばあさまやおばさまのことを思い浮かべていた――それはあなたが、本当はお二人を大事に思っていたその裏返しでもあると思うんです。だから罪悪感が消えない。その気持ちまで「小さい」と言われると、あなた自身が置いていかれる気がするんです。

シオン:……二人の言葉は、どちらも嘘ではないだろう。ひとつ、思うことがある。あなたは「言魂」を恐れている。けれど考えてみてほしい。もし言葉に力があるのだとしたら、それはあなたが今、心の中で繰り返している「私のせいだ」という言葉にも宿っているのではないだろうか。命を縮める言葉を恐れる前に、あなた自身を縛り続けているその言葉を、まず緩めてあげてもいいのかもしれない。

自分に問いかけるロードマップ

ご自身の心を整理するために、静かに問いかけてみてください。

  • 私が背負っている苦しさは、本当に「嘘」への後悔だろうか。それとも大切な人を喪った「悲しみ」が、形を変えて現れているのだろうか。
  • もし同じことをした友人が、「自分のせいで祖母が亡くなった」と泣いていたら、私はその人を責めるだろうか。それとも「あなたのせいじゃない」と抱きしめるだろうか。
  • お二人は、孫や甥姪である私が、こんなに自分を責め続けることを望んでいるだろうか。

本日の羅針盤

お二人が亡くなったのは、あなたのせいではありません。これは寄り添う言葉ではなく、事実として申し上げます。言葉や嘘が、誰かの命を奪うことはありません。

ただ、あなたの中に残る痛みそのものは、否定する必要のないものです。サキが言うように、それはあなたがお二人を大切に思っていた証でもあります。ケンゴが切り分けたように、シフトの嘘への反省は、それはそれとして抱えていけばいい。けれど、命の責任という重すぎる荷物は降ろしていいのです。

そしてシオンが触れたように――あなたが今、自分に向けている「私のせいだ」という言葉こそ、いちばん手放してあげるべきものなのかもしれません。

なお、眠れない日が続いていたり、自分を責める気持ちが強く長引いている場合は、心の専門機関やお住まいの地域の相談窓口に話してみることもご検討ください。喪失の悲しみを誰かと分かち合うことは、決して弱さではありません。

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