「何をやってもついてない」が変わる!不運を笑いに変える心の仕分け術

カフェの虫と、開かない傘と、私の運勢について

私はたぶん、世界で一番「ちょっとした不運」を集めるのが上手いんだと思う。三十代後半、子どもを送り出してからフリーランスの仕事をして、合間に近所のカフェで一息つく。それくらいの、ささやかな休憩がほしいだけなのに。

この前なんか、奮発して頼んだ季節限定の高級ドリンク。あの、写真撮りたくなるやつ。その表面に、ふわっと虫が着水したんです。背泳ぎするみたいに。なんで普通のホットコーヒーのときじゃないの。なんで一番高いやつなの。

バーガーキングのアイス無料クーポンも、期限ぎりぎりで条件もクリアしてわざわざ遠くまで行ったのに「今日、機械が壊れてて」。
買った折りたたみ傘は開かないし、アイロンは電源ランプすらつかない。交換に行ったら店員さんに「もっと早く来てくださいよ」って怒られて。いや、こっちが不良品引いたんですけど。

極めつけは、月に数日しかない私の休み。その数日“だけ”が、ピンポイントで雨。空に嫌われてるとしか思えない。

飛び込み事故に遭遇したり、頭に鳩の落とし物が直撃したり、そういう本気でへこむこともあって。でも一周回って、もう笑うしかない、っていうか。私、何かに試されてるんですかね。

よりみちナビゲーターの対話

サキ:読ませていただいて、最後の「笑うしかない」のところで、私もちょっと肩の力が抜けました。虫が背泳ぎって表現、たしかにそうなんですよね。一番楽しみにしてた一杯に限って。

アキ:わかるー。それ、あるよね。なんで普通のときじゃないんだろうって。私もこの前、推しのライブ当たった日だけ生理きたもん。世界の采配、ピンポイントすぎ。

サキ:(笑)でもね、私、ひとつ気づいたことがあって。この方、不運を「ちゃんと覚えている」んですよ。虫が浮いたドリンクが高級だったこと、クーポンの期限、店員さんの一言まで。これってつまり、いい日のことはすっと通り過ぎてるってことかもしれなくて。

ケンゴ:それは構造の話として、的を射ていると思う。人間の脳は、損失や異常を強く記録するようにできている。晴れの日は「当たり前」として処理され、雨の十日だけが「事件」として刻まれる。確率で言えば休みが雨である偶然は、十分に起こりうる範囲だ。

アキ:うーん、ケンゴさんの言うことわかるよ。でも──確率がどうとか言われても、当の本人はもう傘もアイロンも壊れてるわけで。「気のせいですよ」って言われたら、ちょっとカチンとこない?数字より先に、まず「それはしんどいね」じゃない?

ケンゴ:それも一理ある。ただ──「不運体質だ」と本人が自分にレッテルを貼り続けると、次のちょっとした失敗まで「ほら、やっぱり」と回収してしまう。その思い込みの構造を外さないと同じことが繰り返される。私は事実として、それを言いたい。

サキ:そうですね。ただ、私は少し違って感じていて──この方、もう自分で「一周回って笑うしかない」って書いてるじゃないですか。これ、レッテルに飲み込まれてる人の書き方じゃないと思うんです。むしろ不運を小ネタにして生き延びる技術を、すでに持ってらっしゃる。生活ってそうやって回していくものでしょう。アイロンが壊れた日も、結局ごはんは作らなきゃいけないんですから。

アキ:あー、それだ。笑いに変換できてる時点で強い。

ケンゴ:……たしかに、そこは見落としていたかもしれない。

自分に問いかけるロードマップ

不運の記憶って、なぜか鮮明ですよね。では、こう問いかけてみてください。

「今日、何ごともなく済んだことはいくつあっただろう」

電車は時間どおり来た。コーヒーに虫が入らなかった。傘はちゃんと開いた。──こういう「事件にならなかったこと」は記憶に残りません。けれど確かに、そこにあった日常です。

もうひとつ。「この不運、後で誰かに話したら笑ってもらえそうか?」と考えてみる。虫の背泳ぎも店員さんの「もっと早く来て」も、語り口ひとつでネタになります。出来事は変えられなくても、それをどの引き出しにしまうかは自分で選べます。

本日の羅針盤

ケンゴが言うように、不運の偏りは確率と記憶の癖で説明がつくのかもしれません。アキが言うように、それでも「しんどいね」と先に言ってほしい気持ちも本物です。

そしてサキの見立てが、今日のいちばん温かいところでした。あなたはもう、不運を笑い話に変える術を持っている。それは「ついてない人」の特技ではなく、「ちゃんと生きている人」の知恵です。

虫の入ったドリンクは、お店に言えばたいてい新しいものと交換してもらえます。クーポンの期限も、事情を話せば延長してくれる店舗は少なくありません。不運に遭ったら泣き寝入りせず、一言伝えてみる。それだけで次の小さな運が、一つ拾えるかもしれません。

ちなみにもし、「何をやってもうまくいかない」という感覚が笑えないほど重く沈んでくる日が続くようなら、それは運の問題ではなく、心が少し疲れているサインの場合もあります。そんなときは、気軽に専門機関への相談もご検討ください。誰かに話すこと自体が、ひとつのメンテナンスになります。

今日のところは、まず一杯。今度こそ虫の入っていないコーヒーを。

よりみちナビゲーター

人生の岐路で立ち止まったすべての人へ。答えを「断定」せず、あなた自身が納得できる「複数の選択肢」と「視点の切り替え方」を優しくお伝えする道案内チームです。

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