「悪いオーラ」と言われたら要注意!電話占いでの値踏みと悪質商法の手口

「悪いオーラ」と言われた夜に――占いはあなたを値踏みする道具ではない

私は五十を過ぎた男で、地方都市で一人、金物屋を営んでいる。妻を早くに亡くしてからは、店の奥の畳部屋で猫と暮らしている。去年の秋、常連客がぽつりと漏らした「電話占い」の話が、なぜか耳から離れなかった。売上は年々細り、跡取りもいない。この先どうなるのか、誰かに道筋を示してほしかったのだと思う。

電話の向こうの女性は、最初こそ柔らかかった。だが名前と生年月日を伝えたあと、彼女はこう言った。「今のあなたは、気の巡りが極端に濁っています。澄んでくるのは来年の梅雨明けあたりでしょう」。私は面食らった。気の巡り――それは私の暮らしぶりのことなのか、それともこの先の運勢のことなのか。しかも、それを電話越しに言い当てられるという理屈が、どうにも飲み込めなかった。

さらに解せなかったのは、彼女が次に尋ねてきたことだ。「正確に視るために」と前置きして、私の顔立ちの善し悪し、過去に人を傷つけた経験の有無、そして口にするのもためらわれるような性的な過去まで、こと細かに聞き出そうとしてきた。それらが「気の巡りに強く影響するから」だと言う。私は受話器を握ったまま、店の蛍光灯のジジという音を聞いていた。何かがおかしい。だが素人の私には、その「おかしさ」の正体がつかめないのだ。

よりみちナビゲーターの対話

シオン:面白いことに、あなたが受話器の向こうで感じた「何かがおかしい」という感覚――それこそがこの夜、いちばん澄んでいたものかもしれない。
オーラという言葉はもとはギリシャ語で、「そよ風」や「気配」を指した。人が発する目に見えぬ気配、たしかにそういうものはあるのだろう。だが、気配というのはその人のそばに立ってはじめて、うっすら感じ取れるものではないだろうか。電話の線を通って、しかも来年の梅雨明けまで日付を添えて届くものだとは、私には思えない。

ケンゴ:シオンの言うことに重ねさせてもらう。私が問題と思うのは、そこではない。「顔立ちの善し悪し」「性的な過去」を聞き出そうとした――ここだ。占いに、そんな情報は一切必要ない。断言する。これは占いの手法ではなく、相手の弱みと恥を握るための情報収集だ。中絶や性被害の有無を尋ねる占い師がいたら、それはもう占い師ではない。相手の羞恥心に付け込み、後で「あなたには言えない秘密がある」と揺さぶるための材料集めだ。構造として、これは悪質商法の入り口そのものだと思う。

サキ:ケンゴさんの言うこと、わかります。ただ――蛍光灯の音を聞きながら受話器を握っていたあの時間を思うと、私はまず、そこに立ち止まりたいんです。奥さまを亡くして、お店も細って、跡取りもいない。この方は「値踏みされにいった」んじゃなくて、「誰かに、この先も大丈夫だと言ってほしかった」だけなんですよね。その気持ちにつけ込まれたことのほうが、私は悔しいです。

ケンゴ:サキの言うことも分かる。ただ――だからこそ、私は理屈で守りたいんだ。優しさだけでは相手はまた電話をかけてしまう。「これは詐欺の型だ」と一度はっきり知ることが、次の夜の孤独からこの人を守る盾になる。

シオン:ところで、ご本人の話に戻すが――あなたは「別のところで占い直したほうがいいのか」と書いていた。私はそこにあなたの誠実さと、同時に危うさの両方を見る。悪い占いに出会ったから、次の占いを探す。その前に、一つ問うてみたい。あなたが本当に聞きたかったのは、来年の梅雨明けの日付だったのだろうか。それともこの店を、この暮らしを、これからどう畳んでいくか、あるいは続けていくか――その相談相手だったのではないだろうか。

自分に問いかけるロードマップ

  • 私は「未来を当ててほしい」のか、それとも「今の不安を誰かと分かち合いたい」のか。
  • その占い師は、私の話を聞いてくれたか。それとも私から「情報」を引き出そうとしていたか。
  • 占いを終えたあと、私は軽くなったか。それとも新たな不安(悪いオーラ、隠された過去)を植え付けられたか。
  • 「正確に視るため」という言葉で、私が本来言わなくていいことまで言わされていないか。

本日の羅針盤

オーラとは雰囲気でも運気でもなく、強いて言えば「その人がその場に持ち込む、生きた気配」だと私(シオン)は考える。それは日付で予約できるものでも、電話で採点されるものでもない。だから「来年の夏に回復する悪いオーラ」という言葉は占いというより、あなたを不安の中に留めておくための鎖に近い。

そしてケンゴが指摘したとおり――容姿や性的な過去を尋ねる占いは、占いではありません。 それは悪質商法の典型的な手口です。もし金銭を要求されたり、恐怖を煽られて継続利用を迫られている場合は一人で抱え込まず、消費生活センター(消費者ホットライン「188」)や、お住まいの地域の相談窓口にご相談ください。

占いの本来の姿は当てることではなく、自分の心を整理するための「鏡」であるべきだと私たちは考えます。良い占いは何も奪わない。悪い占いは恥と恐怖を植え付けて、あなたから何かを奪っていく。
その見分け方を、今夜あなたはもう手にしています。あの蛍光灯の下で感じた「おかしさ」――それをどうか、信じてください。

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