祖母が亡くなった後の不思議な現象は気のせい? 猫の異変・偶然の日付・気配と暮らす四十九日

猫が布団を出ていった夜に ― 祖母の気配と、偶然という名の手紙

祖母が亡くなって、ちょうど一週間が過ぎた。

私はずっと、猫と一緒の布団で眠ってきた。冬の入口の冷たい夜でも足元のあたりがほんのり温かくて、寝返りを打つと毛のかたまりが小さく文句を言う。それが私の夜だった。

でも、祖母が逝ってから、その子は布団に入ってこない。抱えて入れても、しばらくすると体をくねらせてするりと抜け出してしまう。寒いはずなのに、少し離れた畳の上でまんまるくなって眠っている。私のほうを見ているような、見ていないような目で。

昨日、母が「はい、おやつ」と渡してくれたのは、何の変哲もないじゃがりこだった。袋の裏の賞味期限を、私はなんとなく目で追った。そこに印字されていた日付は、祖母の命日とぴったり同じだった。

指先が少しだけ冷たくなった。

母は最近、台所に立ちながらひとりごとのように言う。「おばあちゃん、まだ家にいる気がするのよね」。私はそれを、否定も肯定もできずに聞いている。

こういうことって、ただの偶然なんでしょうか。それとも何か、まだそこにいるんでしょうか。

よりみちナビゲーターの対話

シオン:……猫というのは私たちより、ずっと薄い膜の向こう側を見ているのかもしれないね。布団に入らないというのは、その子なりの作法なのではないだろうか。怖がっているのではなく、譲っているのかもしれない。その場所をしばらくのあいだ、誰かに。

サキ:シオンさん、その読み方、私もすっと入ってきました。猫って家のなかの「空気が変わったところ」をいちばん先に感じ取りますよね。私も子どもが生まれたとき、うちの子がしばらく寝室の入口で立ち止まっていた時期があって。理由はたぶん私にはわからないままでした。

シオン:わからないまま、というのが大事なところだと思う。説明をつけてしまうと、こぼれてしまうものがある。

サキ:ただ、ひとつだけ。じゃがりこの日付のことなんですが──私はそこにちょっと違う温度も感じていて。

シオン:……というと。

サキ:その偶然を「メッセージ」と受け取るのは、とても自然なことだと思うんです。でも同時に、ご相談者さんがそれを「私の勝手な思い込みかもしれません」って、自分で打ち消してしまっているのが気になりました。
お祖母さまが亡くなってまだ一週間。日付や数字や、ふとした物音に意味を探してしまうのは、心が悲しみを少しずつ受け入れていく途中のごく普通の働きなんじゃないかと思います。だから無理に「これはメッセージだ」とも「ただの偶然だ」とも、決めなくていいんじゃないかなって。

シオン:……サキさんの言葉は地に足がついていていいね。私はつい、空のほうばかり見てしまうから。

サキ:いえ、私こそシオンさんに引き戻されました。意味を急いで決めないこと。それ自体が亡くなった方への、ひとつの礼儀なのかもしれませんね。

シオン:お母さまの「まだ家にいる気がする」という言葉も、私は本当だと思う。本当というのは、霊が物理的にいるかどうかという話ではなくて──四十九年あるいは八十年、その家で暮らした人の気配は、柱や台所の床の沈み方や湯呑みの置き場所に、しばらく残る。それを感じ取る力を、人間も猫もちゃんと持っている。急いで消そうとしなくていい気配なのではないだろうか。

自分に問いかけるロードマップ

  • 私は今、「偶然か、メッセージか」のどちらかに急いで答えを出そうとしていないだろうか。
  • 猫が布団を出ていったこと、日付が重なったこと ― それらを「不思議な現象」とまとめてしまう前に、ひとつひとつ別々に味わうことはできるだろうか。
  • 母が口にした「まだ家にいる気がする」という言葉に、私は本当はどんな返事をしたかったのだろう。
  • 祖母を悼むという作業を、私はちゃんと始められているだろうか。それとも不思議さの説明に気を取られているだろうか。

本日の羅針盤

亡くなった方をめぐる「気配」を科学で説明することも、信仰で受け取ることも、どちらも人間が長く続けてきた営みです。そのどちらが正しいかを、一週間目のあなたが決める必要はありません。

シオンが言うように、それは「薄い膜の向こう側」の話かもしれません。サキが言うように、それは悲しみが心のなかで形を探しているその途中の風景かもしれません。猫が布団を出ていったことも、じゃがりこの日付も、お母さまの言葉も ― すべてを「お祖母さまの不在を家じゅうで少しずつ受けとめている過程」として、まるごと抱えておいてよいのだと思います。

意味は、急いで決めなくてよい。むしろ決めないでおくことが、しばらくのあいだ祖母のための席を空けておくことになる。

もし悲しみが深く眠れない夜が続いたり、日常が立ち行かなくなったりするときは、グリーフケアの専門機関やお住まいの地域の相談窓口に話してみることもひとつの道です。気配を信じることと専門家に頼ることは両立します。

猫がまた布団に戻ってくる日がきっと来ます。そのときは「おかえり」と、小さく言ってあげてください。それはその子へではなく、もう少し別の誰かへのあなたなりの挨拶になるかもしれません。

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