28歳、ひきこもり7年。私が「変わらない窓辺」から一歩を踏み出すまでの記録

「変わらない私」の窓辺から、まだ見ぬ角を曲がるまで

私は今年、28歳になった女です。会社員の兄、両親と猫が一匹、四人と一匹の家で暮らしています。専門学校を一年で辞めてから、もう七年が経ちました。

昔の私は笑い声が大きくて、髪を明るく染めて、放課後は誰かしらと連れ立って歩いていました。それが環境が変わったことをきっかけに、教室の空気や決まりごとの多さにうまく体が馴染まなくなって。人と話すたび、後から「あの言い方は変じゃなかったか」と何時間も反芻するようになって、気づけば学校から足が遠のいていました。

短期のアルバイトは何度か始めました。でも、職場の誰かの何気ない一言や自分だけがミスをしたような気配を感じると、もう次の日、玄関で靴を履けなくなる。全部リセットして、また家の中の静けさに戻ってしまうのです。

母とは平日の空いた時間、スーパーへ行きます。猫の缶詰を選んでいるとき、隣で母が笑うと、この人を安心させてあげられない自分がたまらなく嫌になります。

同じ年頃の女の人が仕事帰り、友達とお店に入っていくのを、私は遠めに眺めています。あの人たちには七年ぶんの実社会が積もっているのに、私には何も厚みがない。恋人ができたこともありません。私はいつも、その場しのぎの上っ面で人と接してきただけで、心から結ばれた誰かを一人も持っていないのだと思います。

それでも――もう一度、人を好きになりたい。強くなって、母に「大丈夫だよ」と言えるようになりたい。そのためのヒントがもしどこかにあるのなら、知りたいのです。

よりみちナビゲーターの対話

アキ:読んでてね、同世代の社会人を眺めているところで、胸がぎゅっとなった。あの「見てる側」の感覚、わかるよ。楽しそうな輪があって、自分だけガラス一枚ぶん外側にいる感じ。しかもそれを七年も一人で抱えてきたんだよね。まずそこを、私はすごいと思う。逃げてきたって自分では言うけど、逃げるってね、それ以上傷つかないために体が出してる正解だったんだよ。責めなくていい。

ケンゴ:アキの言うことは分かる。ただ――そこで止めてしまうと、彼女の願いに応えたことにならないと私は思う。彼女は「脱出したい」と書いている。気持ちを認めるのは出発点であって、目的地ではないだろう。問題の構造はこうだ。「働く→劣等感が刺激される→リセットする」。このループが七年、回り続けている。ここに手を入れなければ、来年の彼女も同じ窓辺にいる。

アキ:ケンゴさんの言うこと、正しいと思う。ただね――そのループを「意志が弱いから」って本人が責めてるのが、いちばん苦しいとこなんだよ。構造を変えるって、彼女の場合まず「体が動かなくなるほど傷つく感度」をどう扱うか、なんじゃない?いきなり週五のフルタイムに放り込んだら、また同じ角で転ぶよ。

ケンゴ:……そこは同意する。私が言いたいのは、目標を「人間関係の達人になる」ような遠い頂に置くな、ということだ。段差が高すぎる。たとえば「週に一度、猫の缶詰を自分一人でレジに通す」。それくらい低い段から、成功体験の記録を積む。数字にならないと、人は自分の前進が見えない。彼女は七年ぶんの「できなかった」だけを数えて、「できた」を一つも数えていない。

シオン:ご本人の話に戻る。あなたは「何も厚みがない」と書かれた。けれど七年ものあいだ、隣には母上がいて、猫がいて、あなたはその静けさを保ち続けてきた。それは本当に何もない時間だったのだろうか。上っ面だと言いながら、あなたは母上の笑顔に胸を痛めている。上っ面の人なら、そんなふうには痛まないものだ。

アキ:……シオンさんのそれ、ずるいくらい効くね。うん、そうだよ。人を大事に思えない人はこんなに悩まないもん。

自分に問いかけるロードマップ

心が静かなときに次のことを、答えを出そうとせず、ただ眺めてみてください。

  • 私が「劣等感が刺激された」と感じるのは、具体的にどんな瞬間だろう。相手の言葉? それともその言葉を、私が翻訳したあとの声?
  • 「輝いている同世代」の一日を、私は本当に知っているだろうか。それともSNSや遠目に見た数秒から、私が組み立てた物語だろうか。
  • この七年で、たとえ小さくても「今日はできた」と言えることは本当に一つもなかっただろうか。
  • 私が本当に怖いのは「人と関わること」だろうか。それとも「関わったあとで、また傷ついて逃げる自分を見ること」だろうか。

本日の羅針盤

アキは言います。まず、傷つきやすいその感度を欠陥ではなく、「あなたが人を軽く扱えない証拠」として受け取り直すこと。責めるのをやめたところから、体は少しずつ動きを取り戻します。

ケンゴは言います。願いは大きく、段差は低く。「強い自分になる」の前に、今週こなせる小さな一段を一つだけ決めて、できた日を記録すること。前進は記録することで、初めて見えてくるのです。

シオンは答えを一つに束ねません。あなたが「変わっていない」と嘆くその窓辺こそ、あなたが誰も傷つけまいと選んできた場所だったのかもしれない、と。角を曲がるのはその優しさを捨てることではなく、少しだけ連れて出ることなのでしょう。

なお、涙が止まらない日が続いたり、心身の消耗が強く感じられるときは一人で抱えず、地域の若者相談窓口やこころの健康相談の専門機関に、声をかけてみることも考えてみてください。それは「脱出」の反対ではなく、脱出のためのいちばん確かな一段です。

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