教室の時計が、十五分ごとに私を呼ぶ
私、中学二年です。家にいても学校にいても、自分の居場所がないってずっと思ってます。家では私の話なんて聞いてもらえないから、悩みなんて言えない。自分の部屋でも、トイレでも、お風呂でも、ずっと気を張ってる感じがする。
学校も、信頼できる先生がいなくて相談できないし、友達はいるけどこういう重い話はしづらくて。正直、学校自体あんまり好きじゃなくて、親の機嫌を取るために行ってるようなものなんです。選べるなら、絶対に行きたくない。
最近は、学校に行く前の日の夜になると具合が悪くなったり、手が震えたりして、自分の体がおかしくなってる気がします。授業も一コマごとに十五分くらい抜けて、トイレにこもってます。たまに友達と笑っても、それが終わるとすぐにスッと気分が落ちる。どうしたらいいのか、わからないんです。
よりみちナビゲーターの対話
アキ:読んでて、胸がぎゅっとなった。家でも、トイレでも、お風呂でも「気を張ってる」って書いてくれたよね。あれ、すごく大事なことだと思う。普通、お風呂って一番ゆるめる場所のはずなんだよ。そこでも気が抜けないって、あなたの体はもうずっと走りっぱなしなんだよね。スマホでいったら充電器に挿してるのに、バッテリーが減っていく状態。それ、もう本人のせいじゃないから。
サキ:そうですよね。前日の夜に手が震えるというのは、心の弱さなんかじゃなくて、体がきちんと「ここは危ないよ」と教えてくれている合図だと、私は感じます。授業を十五分ごとに抜けてトイレにこもるというのも、必死に自分を守るために編み出した方法ですよね。よくそれで、毎日通ってきましたね。
アキ:うん。だからこそ言いたいんだけど──まず病院とか、相談できる大人とちゃんと繋がってほしい。手の震えとか行く前の夜の不調って、放っておいていいものじゃないと思う。スクールカウンセラーでも、近所の心療内科でも、自治体の子ども相談でもいい。あなたが「親の機嫌を取るために行ってる」って書いた学校に、これ以上体をすり減らして通い続ける義務なんてないよ。
サキ:アキさんの気持ち、わかります。今すぐ守ってあげたい、休ませてあげたいと。ただ、私は少し違って感じていて──
アキ:……うん、聞かせて。
サキ:「行かなくていい」と言ってあげるのは、本当はとても優しい。でも、この方が一番つらいのはたぶん「逃げ場がない」ことなんですよね。学校をやめても、家がそのままならもう一つの逃げ場まで消えてしまう。だから私はまず「逃げる」より先に、たった一人でいいから安全に話せる大人とのルートを作ることが、結果的にこの子の足元を支えると思うんです。お風呂でも気が張る毎日に、ひとつだけ「ここでは緩んでいい」場所を増やす、という順番で。
アキ:……なるほどね。私、つい「今日のこの子をどう楽にするか」だけで考えてた。たしかに明日も明後日も続くんだもんね。逃げ場を「消す」んじゃなくて「増やす」か。
シオン:二人の言葉は、どちらも嘘ではないだろう。休むことも繋がることも、向きが違うだけで同じ「守る」だ。──ひとつ、気にかかったことがある。この方は、笑っているときの自分も書いていた。友達と笑って、その後すっと落ちる、と。落ちることばかり目立つけれど、ちゃんと笑える瞬間がまだ残っているのではないだろうか。その小さな灯の在りかを、本人が知っていることに私は少しだけ安心している。
自分に問いかけるロードマップ
- お風呂やトイレでも気が張ってしまうとき、体のどこが一番こわばっている?(肩、お腹、喉、どこだろう)
- 学校で十五分こもるトイレの中で、ほんの少しだけ呼吸が楽になる瞬間はある? それはどんな時?
- 「重い話だから」と友達に言えずにいるけれど、たった一言「最近しんどい」だけ、誰になら言えそう?
- 今いる大人のうち、味方になってくれなくても「害がない」大人は誰だろう?(味方探しの前に、安全な人探しから)
本日の羅針盤
逃げ場がないというあなたの感覚は、わがままでも甘えでもありません。家でも風呂でも気が張る、前夜に手が震える──それはあなたの体が限界の手前で鳴らしている警報です。
アキは「まず休んでいい、繋がってほしい」と言い、サキは「逃げ場を消すより、安全な一人を増やす順番で」と言いました。結論は一つに絞りません。どちらも、あなたを守る道です。
ただ、両者に共通していたことが一つあります。あなたがたった一人でいいから、安心して本音を言える大人と繋がること。それは親でなくてもいい。スクールカウンセラー、保健室の先生、自治体の子ども相談窓口、あるいは「24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)」のような、声を出さずに繋がれる場所でいい。
手の震えや体の不調が続くようなら、それは心療内科や小児科で相談すべき、れっきとした体のサインです。専門機関への相談もご検討ください。あなたはまだ何も間違えていません。
参考情報リスト
- 24時間子供SOSダイヤル(文部科学省): 0120-0-78310。いじめ・学校生活の悩みを子ども本人が無料・24時間相談できる窓口です。






コメント